二審も捜査怠慢認定=「殺害防げた」と賠償命令−箱詰め女性遺体事件・東京高裁(時事通信)

 東京都足立区の新聞販売店従業員寮で2004年1月、段ボール箱に入った小出亜紀子さん=当時(24)=の遺体が見つかった事件をめぐり、警視庁が適切に捜査していれば殺害を防げたとして、遺族が都などに2000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、一審同様、捜査怠慢を認めた。賠償額については、請求全額を認めた一審判決を変更し、都に計1000万円を支払うよう命じた。
 柳田幸三裁判長は、小出さんの母親や友人は、元同店従業員の本間直人受刑者(30)=殺人罪などで懲役13年確定=らとのトラブルや、小出さんが泣きながら電話してきたことなどを同庁多摩中央署に伝えていたと指摘。小出さんが死亡する約2週間前には、同署は監禁されている可能性が高いと判断できたとして、「捜査権限不行使は著しく不合理で違法」とした。
 その上で、監禁場所は容易に把握できたとし、「捜査によって解放されれば殺人行為も防止できた」と判断。捜査怠慢と殺害との因果関係も認めた。
 一方、小出さんが監禁場所のアパートに行ってから暴行が始まるまでの間に自ら立ち去れば、被害に遭わずに済んだとして、一審より賠償額を減額した。
 判決によると、本間受刑者らは03年12月から1カ月間、東京都足立区にある元少女(25)=同=のアパートに小出さんを監禁。食事を与えずに暴行を繰り返し、凍死させた。 

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高校受験の教育費、8割超が負担(産経新聞)

 第一生命経済研究所は今年1月、中学3年の受験生を持つ全国の30〜59歳(平均年齢43.63歳)の母親計600人に高校受験について調査した。

 教育費の負担感については「かなり負担」が最も多く、45.3%、「少し負担」が39.7%で、全体の85%が負担を感じていた。中学3年間の教育費の合計は平均103.1万円。世帯所得600万円超で121.8万円、600万円以下で73.5万円だった。

 教育費がかかるために取った対策(複数回答)については、「レジャーの支出を控える」が最多で49.3%。「夫の小遣いを減らした」が8.3%だったのに対し、「自分の小遣いを減らした」(17%)、「自分が仕事に就いた」(16.3%)など、母親への影響が大きい傾向にあった。

 一方、「子供の将来、学歴と資格のどちらが大事か」については、学歴は32.6%にとどまり、資格が67.4%を占めた。最も多い回答は「学歴も大事だが資格の方が大切だ」で、全体の60.2%だった。

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金元工作員と面会=警察庁、拉致情報を収集(時事通信)

 大韓航空機爆破事件の実行犯である金賢姫元北朝鮮工作員が23日、ソウル市内で数時間、日本の警察庁の担当者と面会していたことが同日、日韓関係者への取材で分かった。警察庁の担当者はこれまでも金元工作員とソウルで面会しているが、今回は横田めぐみさんら日本人拉致被害者に関する情報を聞いたという。
 金元工作員をめぐっては、昨年5月に訪韓した日本政府関係者に「北朝鮮で横田さんと会ったことがある」と証言していたことが今月明らかになった。 

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 17日午後2時55分ごろ、愛知県春日井市八幡町の市道交差点を歩いて横断していた近くに住む市立小学2年生、徳増立貴くん(8)が走ってきた乗用車にはねられた。徳増くんは頭を強く打ち間もなく死亡した。県警春日井署は、乗用車を運転していた春日井市坂下町、無職、水野利夫容疑者(60)を自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕。容疑を自動車運転過失致死に切り替えて調べている。

 同署によると、現場は信号のない交差点で、徳増くんの自宅から約30メートル。徳増くんは学校からいったん帰宅し、友人宅に向かう途中だった。【飯田和樹】

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 バンクーバー冬季五輪のスノーボード男女ハーフパイプ(HP)陣が21日、帰国した。男子で8位入賞の国母和宏選手(21)=東海大=は日本選手団の公式服装を着崩すことなく、成田空港に降り立って取材に応じ、「いろいろあったが最後まで応援してくれた人に感謝している。自分のスタイルは変えずにいきたい」と語った。

 国母選手はバンクーバー入りの際、シャツのすそを出すなどした服装の乱れが問題になった。帰国の姿は指示を受けたものだが納得しているという。ネクタイはHP陣全員が締めていなかった。

 報道陣を前に、全日本スキー連盟の林辰男競技副本部長と綿谷直樹HPチーフコーチが一連の騒動を謝罪した。【吉見裕都】

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 ドクターヘリに搭乗する医師らの養成を支援しようと、NPO「救急ヘリ病院ネットワーク」(略称・ヘムネット)は4月に基金を創設することを決め、寄付への協力を呼びかけている。ドクターヘリは17道府県で運航され、来年度は兵庫県など6府県が導入を計画しているが、人材養成が課題だ。6府県への援助には少なくとも7000万円が必要で、関係者は「基金を成功させ、全国配備の機運を上昇させたい」と期待を寄せている。

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 ドクターヘリの年間運航経費は約1億7000万円とされる。自治体と国が折半していたが、09年度から自治体負担の半分が地方交付税で充当され、導入の動きが広がっている。ヘムネットによると、11年度にも10県が導入を検討している。

 しかし、運航には専門知識を持った医師と看護師が各3人、運航責任者1人が必要。ドクターヘリを使った研修などは、各病院の持ち出しで行っているのが実情だ。

 このため基金を創設し、医師らを研修に出す病院には滞在費や保険料、受け入れる側の病院には教材費や指導料を助成する。助成額は、医師1人につき最高270万円(3カ月分)とする計画。毎年6県の病院を支援することを想定し、年約7000万円の基金が必要と試算している。

 寄付は企業から1口50万円、個人から1口3000円で募る。個人3000円という額は、理事長で元警察庁長官の国松孝次さん(72)が大使を務めたスイスの仕組みを参考にした。スイスには、どこでも常時約15分でドクターヘリが駆け付ける体制があり、運営費は健康保険と、国民の約3分の1が参加する寄付(1人約2700円)で賄っている。

 国松理事長は警察庁長官狙撃事件で一命を取り留めた日を振り返り「救急医に助けてもらった一人として、少しでもその医師たちの役に立ちたいと、この仕事を始めた。ドクターヘリという貴重な公共財をみんなで支えるシステムを作りたい」と話している。

 寄付の申し込みはヘムネット事務局(03・3264・1190=月、火、木曜のみ)。【合田月美】

 ◇ドクターヘリ

 拠点病院に常駐し、消防本部などからの要請で救急現場に出動する。同乗した医師が患者を治療しながら病院へ運ぶ。厚生労働省の調査では、搬送時間を平均26〜27分縮め、死亡率を27〜39%減らす成果を上げている。

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10年度報酬改定は「ビジョンなき政策」―全腎協・宮本会長(医療介護CBニュース)

 中央社会保険医療協議会が2010年度診療報酬改定を答申したのを受けて、全国腎臓病協議会(全腎協)は「厚生労働省の医療政策が現状追随で、日本の医療はこうあるべきというビジョンなき政策であると言わざるを得ない」とする宮本高宏会長の談話を発表した。

 入院で行う慢性維持透析は現在、出来高評価になっているが、10年度診療報酬改定で包括評価に変更される。同時に、エリスロポエチンの使用量が減り、同じ効能で低価格のダルベポエチンへの切り替えが進んでいる現状を踏まえて、包括点数を引き下げる。

 これについて宮本会長は談話で、「われわれ腎臓病患者、とりわけ日常的に透析医療を必要とする患者にとって、透析治療にかかわる診療報酬は命綱ともいえ、治療の質を担保するもの」と指摘。今後、透析医療の質が担保されるか注視するとしている。
 その上で、政府および厚労省が「日本の医療をこうするのだというビジョン」を国民に示し、その実現に向けた歩みを10年度の改定から始めることを強く求めている。

 全腎協では、昨年8月に厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長あてに要望書を提出し、10年度診療報酬改定で人工腎臓について、包括化を行わないことや、点数を引き下げないことなどを求めていた。


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 沖縄返還(72年)を巡り、日米両政府が交わした密約文書を開示するよう西山太吉・元毎日新聞記者(78)ら25人が政府に求めた情報公開訴訟が16日、東京地裁(杉原則彦裁判長)で結審した。判決は4月9日。

 開示を求めているのは、米国が本来負担すべき旧軍用地の原状回復補償費(400万ドル)を日本が肩代わりすることを示す文書など計3件。米国では既に開示されている。

 国側はこの日、吉野文六・元外務省アメリカ局長が密約の文書の写しが存在したことを前回の法廷で証言したことについて「推測による供述にとどまる」と、改めて文書が存在しないことを主張。密約の有無も「外務省と財務省が沖縄返還にかかわる密約の調査を継続中」として言及しなかった。

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トヨタ プリウス改修 名古屋の販売店でも開始(毎日新聞)

 トヨタ自動車は10日、ブレーキが一時的に利きにくい不具合でリコールを届け出たハイブリッド車(HV)新型「プリウス」について、トヨペットなど全国の系列販売店約5000店で一斉に改修を始めた。

 名古屋市名東区のネッツトヨタ中部プラザ一社店では開店後まもなくプリウスが持ち込まれた。整備士が専用端末を使って不具合のあったブレーキの制御プログラムを書き換えた。1台あたりの作業時間は40分程度。

 同店が販売したリコール対象車は65台。9日にユーザーに連絡をとり、10日には約10台の改修を予定。今後1週間で26台の予約が入っているという。佐々木崇店長は「今月中にはすべての対象車の改修を終えたい」と話した。

 この日、改修を受けに来た名古屋市守山区の会社員男性(53)は昨年6月の注文から半年以上待ち、1月末に納車になったばかりだった。男性は「機械だから不具合も出るだろう。問題があれば早く対応してもらえれば」と話していた。

 改修の対象は、昨年4月20日から今年1月27日までに製造された約20万台に上る。改修は、不具合の原因となったABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の動作を制御するプログラムを書き換える。プリウス以外のセダンタイプのHV「SAI」や高級ブランド「レクサスHS250h」の改修は3月ごろから始める。【稲垣衆史】

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 ■「船員の安全守って」

 和歌山、高知、千葉、東北地方など国内各地の沿岸地域には、古くからクジラ漁の歴史がある。長崎県新上五島(しんかみごとう)町の有川地区も伝統的にクジラ漁が盛んだった。今でも冠婚葬祭などの地域の行事にはクジラの刺し身は欠かせない料理。クジラでだしを取ったうどんは、どこの家庭でも親しまれている。

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 有川町漁業協同組合(中山弘光組合長)の浜崎永吉参事は「昔から鯨食文化があり、今も当然のように食べている」と強調。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体シー・シェパード(SS)の抗議活動については、「受け入れられない主張だ。クジラを食べるのは、欧米人が牛肉を食べているのと同様に文化だ」と話す。

 「クジラなどの哺乳(ほにゅう)類保護、動物愛護という意見はあってもよいが、暴力的な抗議活動を行うことは許されない」と批判する。

 ◆実質的に釈放

 SSに対し、政府はいまでこそ対策を積極的に検討している。「予算がかかっても海上保安庁の巡視艇を警備に派遣すべきだ」という声も高まりつつある。しかし、数年前までは妨害を受けても、政府は「とにかく逃げろ」と指示するばかりだった。

 背景にあったのは捕鯨の是非が議論され続けている国際捕鯨委員会(IWC)。賛成派と反捕鯨国の勢力が拮抗(きっこう)しており、水産庁を中心に「SSに対抗すれば、逆に反捕鯨派を刺激し、勢いづかせる」という考えが根強かった。

 そうした考え方が変わったターニングポイントは平成20年だった。その前年、南極海で捕鯨船にSS活動家が乗り込んでくる“事件”が発生し、船員らは活動家の身柄を拘束した。しかし、政府は反捕鯨国オーストラリアへの引き渡しを決め、実質的に釈放した。

 「トラブルを拡大しない」。そんな考え方があったが、SSはその後も妨害を繰り返している。トラブルを拡大しているのはSSの方だった。

 「なぜ、あのとき逮捕しなかったのか」。公海上でも日本船への不法侵入者は日本の法律が適用されるため、逮捕もできた。批判は高まり、日本側は少しずつ対SS強硬策にかじを切り始めた。

 ◆海賊ではない

 政権交代を果たした民主党は昨年末になって、捕鯨や船舶関係者からSS問題などについて意見を聴く議員協議会を開いた。その場で、全日本海員組合の近英男(こん・ひでお)水産部長が、大きな声を張り上げた。

 「国民がテロに近い暴力にさらされ、生命の危機を感じているのに、助けようとしない政府がどこにあるのか」

 返す言葉もなく押し黙る議員たち。「政治に、なんとかしてもらいたい」。多くの出席者から不満が漏れた。

 SSの公海上での暴力行為に対して、日本の現行法制は逮捕など取り締まりを認めていない。国連海洋法条約は、海賊ならば公海上でも逮捕を認めているが、政府は「海賊とはいえない」との外務省の見解を採用している。環境保護を主張するSSは、略奪目的の「海賊」ではないという解釈だ。

 ◆政権交代が“壁”に

 これに対して農水省は逮捕を可能にする法整備を求めてきた。昨年3月には石破茂前農水相が「SSは海賊と同じだ」として、ソマリア沖の海賊を取り締まる海賊対処法を適用するよう求め、それが拒否されるとSSを対象にした新たな新法制定を求め、水面下で法案の骨子まで作成した。

 しかし、それも政権交代によって、握りつぶされた形になっている。今の政府の大勢は法整備に冷ややかだ。

 「ただ、船員の安全を守ってほしい、それだけなのに…」

 近部長はそう話す。多くの調査捕鯨関係者らの気持ちだ。

 SSの暴力を野放しにすることで、重大な人的被害を受ける可能性は強まる。そのときまで問題を放置していいのか。日本の調査捕鯨船団はいまもSSの脅威にさらされながら、南極海で航海を続けている。

                   ◇

 連載は、尾島正洋と菅原慎太郎が担当しました。

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